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「採用ミスマッチ」を、終わらせる ――タイミーが変える、飲食店と働き手の新しい関係

「採用ミスマッチ」を、終わらせる ――タイミーが変える、飲食店と働き手の新しい関係

公開日:2026.04.22

更新日:2026.04.22

夜のピークタイム。

一人欠けただけで、店は回らなくなる。

飲食店の現場は、いつもぎりぎりだ。

ホールは走り、キッチンは火を止めない。

だがその裏で、店主はもうひとつの戦いを抱えている。

――人が足りない。

「飲食業界って、本当にシビアなんですよね。」

そう語るのは、スキマバイトサービス「タイミー」を展開する

株式会社タイミーで、関東の外食領域を統括する 笠原健氏。

いま、この業界の構造そのものを変えようとしている。

飲食業界から始まったサービス

タイミーは、もともと飲食業界からスタートしたサービスだ。

「最初に選んだ業界が飲食でした。

それだけ課題が明確だったんです。」

ピークとアイドルタイムの差。

突発的な欠員。

慢性的な人手不足。

飲食店は、構造的に人材マネジメントが難しい。

そこにコロナが重なった。

人が離れ、回復局面では一気に人手が足りなくなる。

「アフターコロナでお客さんが戻ってきたとき、一番困っていたのが“人”でした。」

その課題に対する一つの答えが、「働きたいときに、働く」という新しい選択肢だった。

「明日働きたいときに働ける」が当たり前になる

従来の採用は、時間がかかる。

履歴書を書き、面接を受け、結果を待ち、ようやく働き始める。

だが、その間にミスマッチが生まれることも多い。

「入ってみたら違った、というのは、企業側にも求職者側にも不幸です。」

タイミーでは、明日最短即日に働くことができる。

一週間で、複数の店を経験することも可能だ。

「例えば居酒屋で働きたい人が、1週間で7店舗を体験できる。

その中から“合う店”を選べるんです。」

働く側が選ぶ時代。

その変化が、飲食業界にも確実に訪れている。

「お試し」から「採用」へ

この仕組みは、単なる一日バイトでは終わらない。

気に入れば、何度も通う。

やがてアルバイトに。

そして社員へ。

「その流れは、むしろ推奨しています。」

従来の人材業界では、紹介料や制約が壁になることもあった。

だがタイミーは違う。

「現場で出会って、そのまま採用につながる。それが自然だと思っています。」

働く側にとっても、企業にとっても、納得感のある採用が実現する。

「人が足りない」は、戦略で変えられる

笠原氏が強調するのは、タイミーは単なる“穴埋め”ではないという点だ。

「人が足りないから使う、ではなく、どう使えば売上が上がるかを考える。」

例えば、ピークタイムの1時間だけ人を増やす。

それだけで回転率が上がり、売上が変わる。

あるいは、業務を細分化する。

皿洗い。

配膳。

接客。

すべてを同じ人がやる必要はない。

「店長が本来やるべき仕事に集中できているか。

そこまで踏み込んで提案しています。」

これはもはや、人材サービスではない。

経営支援に近い領域だ。

スポットワークの、その先へ

タイミーの進化は、さらに先へ進んでいる。

かつては「簡単な作業」が中心だった。

だが今は違う。

「プロフェッショナル領域にも広がっています。」

例えば、特定の技術を持つ料理人。

包丁さばき。

魚の下処理。

寿司の握り。

そのスキルを細かく言語化し、

マッチングする。

「“経験者”ではなく、“どんなスキルを持っているか”を明確にする。」

その結果、専門人材がスポットで集まる。

「点心師(中華料理で点心を作れる資格保持者)限定で募集すると、7〜8割は埋まります。」

単なる労働力ではなく、技術を持った人材が動き始めている。

スキルが評価される世界へ

タイミーには、すでに1,300一千万人を超える規模の登録者がいる。

その中には、長年の経験を持つ職人もいる。

だが従来の仕組みでは、その価値が十分に活かされていなかった。

「30年の熟練職人も、QSRで短期働いた経験の人も、同じ“経験者”として扱われてしまう。」

それを変えたいと笠原氏は言う。

スキルを言語化し、可視化し、適切な場に届ける。

「人が持っている力を、正しく評価される世界にしたい。」

食の未来は、人で決まる

タイミーが目指すのは、単なる人手不足の解消ではない。

「飲食業界を、もっと魅力的にしたい。」

人が集まり、挑戦が生まれ、キャリアが育つ業界へ。

そのために必要なのは、柔軟な働き方と、適切なマッチングだ。

「飲食で働きたい人を増やす。

それが結果的に業界全体の発展につながる。」

一皿の裏側にあるもの

一皿の料理が出るまでに、何人の人が関わっているか。

料理人。

ホールスタッフ。

仕込みの人。

そして、その裏側にある人材の仕組み。

タイミーは、その見えない部分を変えている。

「人の流れが変われば、業界はもっと良くなる。」

厨房の熱気の中で、今日も一皿が生まれる。

その裏側で、新しい働き方が、静かに広がっている。

インタビュー協力

株式会社タイミー

関東飲食グループ マネージャー 笠原 健さん

Writer /

記事担当ライター