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政策を「待つ側」から「作る側」へ。1万店舗の声を行政に届ける、小規模飲食店環境整備協会の裏側

政策を「待つ側」から「作る側」へ。1万店舗の声を行政に届ける、小規模飲食店環境整備協会の裏側

公開日:2026.05.17

更新日:2026.05.17

食団連に加盟する会員団体の活動内容や、食団連への期待などをインタビューする本企画。第二回は、一般社団法人 小規模飲食店環境整備協会の鈴木さまにお話を伺いました。1万店舗を超える小規模飲食店と行政のハブとして、現場の声を政策に反映させる活動の核心に迫ります。

小規模飲食店環境整備協会プロフィール

1万店舗の声を政策に。行政と小規模飲食店をつなぐ役割

貴団体のミッションと主な活動内容を教えてください。

鈴木さん:私たちのミッションは、1万店舗を超える会員の小規模飲食店が抱えるさまざまな課題を吸い上げ、それを政策として提言することです。 行政(政策決定者)と飲食店の「ハブ」となり、双方にとって有益な連携を推進しています。

具体的な活動としては、国の法改正や支援策の情報を、私たちと直接LINEで繋がっている1万店の飲食店オーナー(決済者)にアクティブにお届けしています。同時に、飲食店の声を吸い上げて行政に届ける。この双方向のコミュニケーションが私たちの活動の核となります。

(引用:小規模飲食店環境整備協会 ご紹介資料)

小規模飲食店や政策決定者の、どのような課題を解決しているのですか。

私たちの会員は、9割が50席以下の飲食店で、そのうち32%が居酒屋です。こうした小規模飲食店は、国や自治体の支援策があっても「情報が届かず利用できない」という悩みを抱えています。一方で、政策決定者側も「的確な施策を実施したい」「制度を広く利用してほしい」というニーズがあります。

私たちは、この両者の間に存在する情報格差やコミュニケーションの課題を解決しています。特に、小規模飲食店が倒産を回避するための支援要望など、切実な声を束ねて届けることに意義があると考えています。

(引用:小規模飲食店環境整備協会 ご紹介資料)

政策を「待つ側」から「作る側」へ。設立の原点と直面した壁

小規模飲食店環境整備協会が立ち上がった経緯を教えてください。

鈴木さん:もともとは、喫煙目的店(店内でタバコが吸える飲食店)に対して、嗜好品のプロモーション支援などを行う私の事業が発端でした。

しかし、2020年に受動喫煙防止条例や健康増進法が施行され、喫煙目的店に対して、店内でタバコが吸えなくなるかもしれないという大きな危機が訪れました。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、多くのお店が立ち行かなくなりました。

当初は1店舗ずつ助成金や金融機関の相談に乗っていましたが、それだけでは限界がありました。「このままでは、立場の弱い小規模飲食店が一方的に潰されてしまう」。 国の指導や規制に対し、現場の声を届ける必要がある。しかし、1店舗の声では政治は動きません。「団体にしないと話が通じない」と痛感し、協会設立に至りました。

活動の中で、特に大きな壁となった出来事はありますか。

設立のきっかけともなった、受動喫煙防止条例の施行時です。 厚生労働省が出した法律と、東京都が出した条例で、同じタイミングにもかかわらず「解釈」が異なるという事態が発生しました。

私たちは厚生労働省とは以前から連携を取らせていただいていたのですが、東京都から異なる解釈が入り、飲食店の現場では「どちらに従えばいいのか」と大混乱に陥りました。この問題はメディアにも取り上げられ、各所から指摘が入る事態となりました。

その「壁」をどのように乗り越えたのでしょうか。

すぐに政治家の先生方と話し合いの場を持ちました。国と自治体(この場合は東京都)、そして運用する市区町村、それぞれの事情を理解した上で、お互いに譲歩する形で事態を収拾しました。

この経験から、国がガイドラインを作る「初期段階」で、現場の声を代表して一番に意見を言える団体の必要性を強く認識しました。ルールをただ「受け入れる側」で待つのではなく、ルールを「作る側」に回らなければ、飲食店は守れないと。

食団連と共にめざす、飲食店業界の「大きな力」

1万店舗ものネットワークはどのように築いたのですか? 政治とのつながりを強固にできた理由もお教えください。

私の事業では、飲食店向けに「喫煙目的店」への移行をコンサルティングしていました。この申請には「たばこの販売免許」の取得を伴うためハードルが高いのですが、お店には明確なメリットがあります。そこで、登録費なども私たちが負担する代わりに、プロモーションの場をいただき、飲食店オーナーさんとLINEを交換していきました。こうして地道な飛び込み営業と紹介を重ね、東京・大阪を中心に1万店舗の強固なネットワークを築いたのです。 この「1万店舗」というインパクトが、政治家や省庁が私たちの声に耳を傾けてくれる大きな理由となっています。

そして何より、有事の際に迅速に動けるよう、政治家の方々とも日々のコミュニケーションを欠かしていません。日頃の関係構築があるからこそ、いざという時に迅速に動けるのです。

食団連に加盟された理由と、期待することを教えてください。

まさに、「飲食店を守るために、ルールを作る側に回る」という、私たちと全く同じ問題意識と背景に強く共感したからです。

食団連には、飲食店業界を守るための「より大きな力」となってほしいと期待しています。個別の団体がそれぞれ動くだけでなく、食団連が束となって、経団連が国の政策に影響力を持つように、私たちも政治と一緒に前に進むための力を持つべきです。 政策提言は目的ではなく、あくまで手段です。食団連内部で業界としての課題や意見の「交通整理」をしっかり行い、一枚岩となって政治と向き合っていく。そうした活動を、ぜひ一緒に進めていきたいです。

最後に、食団連の他会員団体へメッセージをお願いします。

麻生先生(衆議院議員、自由民主党副総裁)が食団連の外食サミットにて「食というコンテンツを経産省として出していかないといけない」と発言されたように、今、「食」は政治的にも重要なテーマです。食団連の他会員団体の皆さんとも、どのように連携し、情報交換していけば、業界全体として政治を動かすシナジーを生み出せるか、ぜひ積極的にお話させていただきたいです。政治と共に前に進むための連携を、共に築いていけたら嬉しいです。

引用:食団連 2025年5月21日(水)「食団連 会員団体交流会」第3部詳細決定のお知らせ

Writer /

記事担当ライター

会員団体部会

小原 万美子

株式会社ダイニー