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食のプロと住民に愛される「本物の食のまち」を守る。築地食のまちづくり協議会が拓く、「持続可能な地域共生」の姿

食のプロと住民に愛される「本物の食のまち」を守る。築地食のまちづくり協議会が拓く、「持続可能な地域共生」の姿

公開日:2026.05.17

更新日:2026.05.17

食団連の会員団体インタビューは、加盟する団体同士の相互理解とコミュニケーション活性化を目的としてスタートした企画です。各会員団体さまの、ミッションや活動、食団連への期待をまとめます。

「本物の良いものをしっかりと続ける」という揺るぎないミッションを掲げ、約20年にわたって築地場外市場の活性化とまちづくりを続けているNPO法人 築地食のまちづくり協議会。その活動内容や意義、今後の展望について、事務局の鈴木 孝夫さんに伺いました。

築地食のまちづくり協議会プロフィール

"食のプロに愛される街"というブランド。築地のにぎわいを支える「共存共栄」の精神

貴団体の設立経緯とミッションを教えてください。

もともと築地には、築地場外市場商店街振興組合をはじめとする4つの商業団体と2つの町会がありました。中央卸売市場の移転が決まった際、東京都や中央区から「地元の声を一つにまとめて届けてほしい」という要請があり、2006年にNPO法人として設立されたのが始まりです。いわば、地域の多様な意見を束ねる「ハブ」のような役割ですね。

私たちのミッションは、市場が移転した後もシャッター街にすることなく、「食のまち」として商売が成り立つ環境を維持することです。そのために、生鮮品の卸売ができる機能を残した区営施設「築地魚河岸」の整備など、行政と連携してにぎわいの拠点を創ってきました。

築地市場は観光地としても有名ですが、活動の軸足はどこにあるのでしょうか?

実は、私たちは「観光客向け」の事業を主目的としたことはありません。基本的には、「プロの飲食店に愛される街」であり続けることをブランドの核にしています。プロに選ばれる本物の品質があるからこそ、結果として一般のお客さまやインバウンドの方々にも価値を感じていただける。

単なる「箱物の観光市場」にならないよう、豊洲市場とはライバルではなく、物流やシャトルバスでつながる共存共栄のパートナーとして、プロの仕入れを支える機能を守り続けています。

移転と国際化の荒波。「腹を割った議論」で守り抜いた街のアイデンティティ

活動を続けてこられた中で、直面した「壁」は何でしたか?

最大の変化は、やはり中央卸売市場の移転と、それに伴う国際化・インバウンドの急増です。街の意思としては「インバウンドに振りすぎたくない」という思いが強くありました。流行りに乗りすぎて本質を失えば、プロからも観光客からも見放されてしまうという危機感があったのです。

そこで私たちは「築地場外市場デザインガイドライン」を作成しました。法的拘束力はありませんが、「この街の思いを理解して、一緒に商売をしましょう」という共通のルールを明確にしたのです。新しい店だからダメ、古いからいいという話ではなく、街の景観や品位をどう守るか。これを共有するまでには、多くの議論が必要でした。

築地場外市場デザインガイドライン(一部)

行政や地域住民との調整も大変だったのではないでしょうか?

築地では、行政とのディスカッションをあえて「喧嘩」と呼ぶこともありますが、それは本音でぶつかり合っている証拠です。建前ではなく、腹を割って思いを伝える。 こうした関係を何十年も積み重ねてきました。

また、商売人だけでなく、街に住んでいる「町会」の方々が理事会に深く関わっていることも大きいです。店が儲かればいいという目線だけでは、ゴミや騒音の問題で地域は壊れてしまいます。住んでいる人の目線があるからこそ、行政も信頼して耳を傾けてくれる。 この帰属意識の強さが、築地を支えるDNAになっています。

築地場外市場ホームページ:https://www.tsukiji.or.jp/ordinary/

食団連と共に、「日本の食文化」を次世代へつなぐ本質的な議論を

食団連に期待することを教えてください。

食団連は今「産業庁の創設」に向けて着実に進んでいるかと思いますが、その先にある「日本の食文化をどう未来につなぐか」という本質的なミッションを主導してほしいと期待しています。

例えば、一次産業の担い手不足や、気候変動による食材の変化、二重価格の問題など、個別の団体では解決できない大きな課題があります。食団連は今、政治に対して発言力を持つ大きな組織になりました。だからこそ、「10年後、20年後の日本の食卓をどう豊かにするか」という骨太な議論を、農水省や経産省、文部科学省などを横串で刺して展開してほしいと思っています。

最後に、他の会員団体へメッセージをお願いします。

全国の会員団体の皆さんと、それぞれの地域の「食」や「暮らし」のリアルな声を交換したいですね。築地もそうですが、商売は地域住民の理解と営みがあってこそ成り立ちます。

「自分たちの商売が儲かるか」という枠を超えて、「国民の食生活をいかに豊かにするか」という視点で一枚岩になれたとき、食団連はもっと大きなパワーを発揮できると感じています。食に関わるプロとして、本気で日本の食の未来を語り合いましょう!

Writer /

記事担当ライター

会員団体部会

小原 万美子

株式会社ダイニー