経済産業省関東経済局が2024年5月7日に発表した「令和5年度市場競争環境評価調査(飲食サービス業の競争環境整備に向けた商慣行実態調査)」調査結果概要版を要約しました。
調査の背景と目的
本調査は、株式会社ぐるなびにより実施されました。労働生産性向上における課題を持つ飲食サービス業に着目し、今後の社会環境の変化に伴う競争環境の適正化へ向けた具体的な政策手段を見出すため、論点整理・課題の抽出を目的とした調査です。また本調査では、まとまったデータが存在しないため実態把握が難しい中小規模の飲食店の実態把握に焦点を置き、貴重なデータやインサイトを掲載しています。
詳細は、こちらよりご覧いただけます。ご参考になれば幸いです。
調査方法
アンケート調査:
対象 ぐるなび加盟飲食店 328サンプル
形式 WEBアンケート
調査期間 2023年11月8日~12月1日
回答者内訳
【属性】オーナー55%、店長30%、その他15%
【地域別】首都圏45%、関西圏23%等インタビュー調査:
対象 ぐるなび加盟飲食店8店舗
形式 オンラインまたは訪問
期間 2024年1月14日~1月23日有識者との意見交換:飲食サービス業の専門家2名と3回にわたり意見交換を行い、調査内容や今後の方向性についてのアドバイスを受けました。
【専門家】
・ロイヤルホールディングス株式会社 代表取締役会長 菊地唯夫様
・株式会社夢笛 代表取締役社長 髙橋英樹様
主な調査結果
1. 飲食店の競争環境全容
売上の変動
新型コロナウイルス感染症の影響で多くの飲食店が売上減少を経験し、回復基調にあるが依然として厳しい状況。一部で好調な様子を語る回答者もみられる一方、利益率については「悪い」「マイナス」 との声も挙がりました。業務時間の使い方
「接客」「調理業務」などの現場業務に、日々の業務時間の過半数以上を割いている様子がみらました。メニュー価格の考え方・価格転嫁状況:
「利益をあげるために、コストは価格にしっかり転嫁している」派より、「顧客の期待に応えるために価格はできる限り据え置きしている」派が多い結果に。
2. 仕入に関する企業間取引形態
発注方法:
「FAX」が最多であり、全体的にまだアナログでの発注比率が高い様子がみられました。仕入に関する課題:
「1社で必要なものが揃わない」「発注頻度を減らしたいがストックするスペースがない」「冷蔵・冷凍保存の容量が小さく、発注頻度を減らせない」「配送コストが増えている」などの声が多く挙げられました。物流の2024年問題:
共通発注プラットフォーム、企業間連携・共同購入の活用可能性について、共通プラットフォームに対しては賛成の意見多数。一方、企業間連携・共同購入に対しては否定的意見が多い傾向に。
3. 人材確保・管理体制等雇用環境
従業員数の実態と人材の課題:
飲食業界全体で慢性的な人材不足。「103万円/130万円の壁でシフト調整の必要が生じるため、理想より多く在籍」、「新人や、スキル不足等のスタッフのフォローのためシフト人数を増やす必要がある」といった声がみられました。人材育成の課題:
人材育成のための「時間確保ができない」、「マニュアルがない」といった課題が挙げられました。マルチタスクの飲食店業務を分解の上、マニュアルを整備するといったステップが必要と考えられます。ギグワーク活用への課題と活用事例:
非利用店舗からは、価格の高さ、限られた時間内での業務習得の難しさが利用しない理由として挙げられました。セルフオーダーシステムやマニュアルなどの導入が、ギグワーカー利用ハードルを下げる可能性があると考えられます。
非利用店舗の一部からは、「採用媒体への掲載費用より安価」という意見も。また、ギグワーカーを直接雇用する動きもみられました。採用コストが低く、飲食店・ギグワーカー双方における納得感が高いのが特徴。
4. 集客に関わるマーケティング環境
マーケティング実施状況・課題:
「ネット予約受付」「SNSでの情報発信」は、半数程度の飲食店が行っていることが分かりました。一方、それらから得られるデータに基づいた戦略的なマーケティング施策の実施率は低い傾向にありました。
5. 注文・決済環境
レジ・オーダーシステム利用状況:
POSレジを導入している飲食店が半数以上。一方で、POSデータ分析は、売上を確認する程度しか活用されていない状況がみられました。キャッシュレス決済と注文・決済周りの課題
いずれの店舗でもキャッシュレス決済が増えていることを実感。ただ、大都市圏の方が、その割合が高いという肌感覚を持っている回答傾向がみられました。キャッシュレス決済の利便性を認識しながらも、「料率が高い」「コストを圧迫している」といった声が多く挙げられました。
詳細はこちらからご確認いただけます。
本件に関するお問い合わせ先
経済産業省関東経済産業局 産業部 流通・サービス産業課
電話:048-600-0345
メール:bzl-kanto-service@meti.go.jp