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行政との接点がゼロだった。JA出身の若手リーダーが、コロナ禍の逼迫を経て「滋賀支部」を立ち上げた真意

行政との接点がゼロだった。JA出身の若手リーダーが、コロナ禍の逼迫を経て「滋賀支部」を立ち上げた真意

公開日:2026.01.29

更新日:2026.01.28

食団連地域統括本部 広報担当の小原です。各地域支部の活動をより広くお伝えし、活動の一助としていただくため、新たに支部へのインタビュー連載企画を開始しました。本連載記事では、支部立ち上げの経緯や、その活動内容や課題意識などについてお話しいただきます。
2023年12月、各地域の飲食業経営審議会はより密なコミュニケーションを図れるよう、食団連の地域支部として新たな体制となりました。2024年4月時点で、すでに12支部◆が各地の課題解決に向けて活動しており、さらに9拠点◆が立上げ準備中です。

◆第一回目◆は、滋賀支部の支部長・株式会社nadeshico代表取締役の細川雄也さんにお伺いしました。


滋賀支部長・株式会社nadeshico代表取締役の細川雄也さん

滋賀県生まれ。大学卒業後、滋賀県のJA(農業協同組合)に就職。6年間勤めたのち、ワタミの渡邉美樹氏に憧れて飲食業界に飛び込むためJAを退職。飲食経験なしで飲食店1店舗目を立ち上げた。店舗数が増えていく中で「人」の大切さに気づき、「数字」重視の経営から、心のこもった接客で人の素晴らしさが輝く空間づくりへと方針を変更。順調に店舗数を伸ばし、現在13店舗を運営中。飲食事業以外にも、プロデュース事業、ローカルブランディング、デザイン事業等多彩な事業を手がけている。


コロナ禍の時短営業要請で団体の必要性を痛感。滋賀の外食産業活性化を目指す

滋賀県支部の立上げに至ったきっかけは、コロナ禍での時短営業要請でした。滋賀県は、感染拡大防止協力金の給付がなく、時短営業に応じた飲食店の経営は逼迫していき、状況はより深刻なものでした。

当時、県庁に直接掛け合ってみても状況が好転しなかったのは、このような危機的状況に陥るまで、行政との関係構築を行ってこなかったからだ、と気づきました。滋賀県の飲食企業としての総意をまとめた上で、行政と議論を重ねていくべきだと考えるようになりました。

隣の京都府は、食の文化的な歴史が長く、調理師組合、衛生組合、割烹料理、フレンチ、イタリアンなどの飲食関連の組合が50団体ほどあります。一方、滋賀県にはそういった飲食関連の組合が皆無でした。コロナ禍の危機的な状況で、ようやく飲食企業の団体の必要性を痛感しました。

そんな時に、食団連名古屋支部長の桜井さんより、コロナ禍において飲食店の意見をまとめて行政に伝えることで助成金の増額に繋がったというお話を聞いて、数の力があれば行政にも意見が届くのかと刺激を受けました。よって、滋賀県の飲食店もまとまることで存在感を出し、自分たちで未来をつくらなければいけないと、私だけでなく滋賀県内の飲食業界で機運が高まっていきました。ただ、当時は自分たちの身を守ることで精一杯。結局はすぐに動くことはできませんでした。

その後、ようやく客足も回復し、店の運営にも余裕が出てきた今年2024年。いよいよ滋賀支部立上げに向けて動き出そうと、周りの飲食店経営者10名ほどにお声がけをしてまずは飲み会を開催しました。

そこで、自分たちで滋賀県の飲食店の未来をつくれるような数の力を持とうということと、外食産業の活性化、地位向上によって、最終的に飲食店スタッフの物心両面の幸せを目指そう!と伝えました。そうして、◆2024年1月1日に滋賀支部を立ち上げました。◆

インバウンド対策、人手不足……滋賀が抱える4つの課題とは?

第一回目の滋賀支部会議では、現在の滋賀の飲食業界が抱える課題、それらを解決することでどのような社会を実現していくべきか、などについて議論しました。

その結果、課題として挙げられたのが、

  1. 行政との関係構築

  2. インバウンド対策

  3. 飲食店の参入障壁の高さ

  4. 人手不足

この4つの課題でした。

隣の京都から電車で20分ほどの距離にもかかわらず、インバウンド客を呼び込めていない。滋賀県はベッドタウン化しており、県内の外食市場は近隣府県に比べて盛り上りに欠けているのは明らかです。

県全体で対策を行い、滋賀県に海外からお客様がわざわざ外食をするために訪れてくれる、そんな街づくりをしていきたいと考えています。

一方で、滋賀県は、比較的風営法が厳しい地域で、深夜営業店の出店ハードルがかなり高いです。よって、「ナイトエコノミー」が弱く、居酒屋等の集客も難しくなる現状があります。条例改正に向けて動くにも、どこに要望を伝えるべきか分からない、という状況です。この点については、他の支部の活動事例を参考にしながら、行政に声を届けていきたいと思います。

最後に、人手不足問題について。
外食を通じて、滋賀県をいかにより良い地域にしていくか、国内外から多くの人が訪れる活気のある地域にしていくか、ということを考えた時に、飲食店で働く人材確保は避けては通れない根本的な課題です。飲食業界の人手不足を解決するためにも、まずは、現状働いてくれている飲食店の社員が、いきいき元気に働ける、一生働きたいと思える職場にすること、自身がまずワクワクできる、やりがいを感じられることが大事だと話しました。実際、人手不足で週休2日を実現できていない飲食店はまだまだあります。まずはお互いに学び合いながら、自分たち自身の働き方や待遇改善に取り組んでいきたいと考えています。

滋賀の飲食店を活性化、外食産業の地位向上へ

月一回の定例会議を通じて、滋賀県をどう盛り上げていくか、どのように滋賀県の飲食業界の課題を解決していくべきかなど、まずは議論を重ねていきます。

滋賀県と飲食店で働く方々、そして、外食産業の地位向上に貢献できるよう活動を続けていきたいと思います。

Writer /

記事担当ライター