厨房の奥で、黙々と冷気を送り続ける業務用冷蔵庫。
その静かな機械たちの向こうに、食の安全や品質を支える人々がいる。
フクシマガリレイ株式会社は、創業75年にわたり「冷やす技術」で日本の食を支えてきた。
今回お話を伺ったのは、同社のフードサービス事業を担当する陣内伸介氏。
彼の言葉には、技術者の矜持と“現場を思う温かさ”が同居している。
「冷やす」だけではない、“食を支える装置”づくり
「私たちは業務用の冷蔵庫やショーケースを製造しています。
飲食店向けの厨房機器だけでなく、スーパーやドラッグストアなど小売り向けの冷蔵ショーケースも大きな柱で、この分野では国内トップシェアを持っています。」
冷蔵庫と聞けば、無機質な金属の箱を思い浮かべるかもしれない。
だが陣内氏はそこに“人の暮らし”を見ている。
「食材をどう保存し、どう魅せ、どう届けるか。
冷やすという行為は、食の循環の根幹にあります。
私たちは“食の裏方”として、現場が安心して動ける環境を整えることを使命としています。」
フクシマガリレイの機器は、全国津々浦々の飲食店や小売現場に導入されている。
24時間稼働するコンビニのショーケースから、ホテルの厨房、漁港の加工施設まで。
「止めない」ことを前提に、現場を支え続けてきた。
だからこそ、全国70拠点以上のサービスネットワークを自前で整備しています。」
技術をつなぐ“人”を育てる ――ガリレイアカデミーの挑戦
「冷やす技術」は、一朝一夕に身につくものではない。
配管や電気工事、冷媒の扱いなど、職人技の積み重ねが支えている。
しかし、その職人たちの高齢化が進んでいるのが現実だ。
「冷媒技術者がどんどん減っています。
修理や設置ができる人がいなければ、どんな良い機械も動かない。
だからこそ、私たちは“技術を伝える”ことに本気で取り組んでいます。」
同社が設立した「ガリレイアカデミー」では、若手技術者の育成を進めている。
現場で汗をかきながら技術を磨く社員が、教える立場にも立つ。
「メーカーが自社で技術者を育てるのは珍しいかもしれません。
でも、食を止めないためには、技術を“継ぐ”ことが必要なんです。」
食団連との出会い――“本気の共創”に惹かれて
フクシマガリレイが日本飲食団体連合会(食団連)に参加したのは、発足当初からだ。
きっかけは、食団連の立ち上げを進めていた外食経営者からの声掛けだったという。
「弊社会長が“食の未来を良くする団体を立ち上げる”と伺い、即座に賛同しました。
うちは会長が“食に関わることなら迷わずやる”という人でして(笑)。
まさにその想いが、食団連とのご縁につながりました。」
加入してから約4年半。
陣内氏は「食団連には本当の意味での“共創”がある」と語る。
「多くの業界団体は、名刺交換して年に数回ご挨拶する程度。
でも食団連は違います。
オフィシャルパートナーへのケアが非常に手厚く、発表の場も、交流の機会もある。
自社を紹介するピッチの場を設けてもらうなど、双方向の関係性ができています。」
その中で生まれたのが、ユーザーの“生の声”と向き合う意識だ。
「これまでのガリレイは代理店経由の販売が中心で、エンドユーザーとの接点が少なかった。
でも食団連に関わることで、現場のリアルな課題や希望を直接伺えるようになった。
これは非常に大きな変化でした。」

地域に広がる“つながり”と支援の輪
陣内氏は全国の食団連支部との連携にも積極的だ。
「弊社は全国組織ですから、各地の支部活動に可能な限り参加していきたいと思っています。
こうした現場の集まりは、ユーザーの声を肌で感じられる貴重な機会なんです。」
同社では、SDGsや被災地支援などの社会貢献活動にも意欲的だ。
「『能登フードリバイバル』のようなプロジェクトがあれば、
全力で支援したいと考えています。
冷蔵庫メーカーとして、食を守る“インフラ”を提供することが私たちの役割ですから。」
“リアル”でつながる開業支援プロジェクト
現在、フクシマガリレイが計画しているのが、
飲食店の開業を総合的に支援する「東京サロン」プロジェクトだ。
「ショールームでもテストキッチンでもない、“リアルな共創の場”をつくりたい。
飲食店を開きたい方が集い、設備や資金調達、物件探し、内装、食材、集客まで
ワンストップで相談できる場を造りたいと思っています。
厨房機器の販売にとどまらず、開業前から開業後までの長期伴走者となる構想。
「飲食店を始める方は、最初に“どこへ相談すればいいか”でつまずくことが多いと聞きます。
私たちは長く寄り添える形をつくりたい。
短期的な売上ではなく、共に成長する関係を築くことが目的です。」
この構想には、食団連が推進する「個店連合会」との親和性も強く感じている。
「個人店が連携して力を発揮する流れに、我々の“リアル支援”を重ねていければと思っています。」

冷やすことに、熱すぎる会社
「私たちが扱うのは“冷気”ですが、やっていることは“人を温める”仕事だと思っています。
お客様が困っている時にすぐ駆けつけ、店を止めない。
その積み重ねが、“おいしい”を支える原動力になるんです。」
技術、現場、そして人。
どれが欠けても、食の循環は止まってしまう。
フクシマガリレイが描く未来は、“冷やす”ことで日本の食文化をより温かくしていくこと。
それは、目立たぬところで光を放つ職人たちの、誇りそのものだ。
取材協力 : フクシマガリレイ株式会社
執行役員 フードサービス事業部長
陣内 伸介様
企業URL: https://www.galilei.co.jp/