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【連載第1回】まとまると、話を聞いてもらえる

【連載第1回】まとまると、話を聞いてもらえる

公開日:2026.09.09

更新日:2026.09.04

深見浩一が議員会館で体感した、業界が"声"を持つ瞬間

食産業人メディア「Food is People」の連載企画。第1弾では食団連・佐藤裕久代表理事に、この団体が生まれた背景と目指す姿を伺いました[^1]。第3弾に登場いただくのは、常務理事として6つのセクションを束ねる深見浩一氏です。株式会社PrunZ代表取締役として「炎丸」ブランドを国内とアジア5か国で展開し、日本フードビジネス国際化協会(JIFA)の理事長も務めるプレイヤー[^2]。聞き手は、食団連広報メンバーであり、株式会社てっぺん代表取締役・居酒屋甲子園9代目理事長の和田裕直氏[^3]。第1回は、深見常務理事が食団連にたどり着くまでの道のりから伺います。

議員会館で、手を挙げた

和田:前回、佐藤代表理事には「食団連がどういう思いで立ち上がり、いまの活動に至っているのか」を伺いました。今回はもう一段、中に入っていきたいと思っています。深見さんご自身が、そもそもどうやって食団連と出会い、どんな思いで関わることになったのか。そこから聞かせてください。

深見常務理事:もともと僕は、日本フードビジネス国際化協会(JIFA)の理事長をやっているので、加盟団体の一つとして食団連に関わっていました。ただ、その前段があるんですよ。

コロナの最初の緊急事態宣言のとき、業界の先輩から声をかけてもらって、「飲食の経営者100人で議員会館に陳情しにいくぞ」という会があったんです。あれが僕の議員会館デビューでした。政治家の方も100人くらい集まってくださって、国としてこう考えている、という説明をしていただいた。

和田:いきなり100対100ですか。

深見常務理事:それで、せっかく呼ばれたんやから何か一つ爪痕残して返ろうと思って、いちばんに手を挙げたんです。「これだけの措置を用意してくださる国は、たぶん他にない。海外でも店をやっていますが、何の措置もない。本当にありがたいと思っています」と。そのうえで、「一方で、メディアで『飲食に行くな』と言われれば、我々は悪者になる。20時で営業をやめさせられ、お酒も出せなくなった。だから、ぜひ政治家の皆さんご自身が『外食を応援しています』『ご飯を食べに行っています』と発信してほしい」とお願いしました。

和田:現場の人間にしか言えない話ですね。

深見常務理事:資金繰りの支援メニューがあり、需要喚起の施策も用意されている、という話も聞かせてもらいました。そのとき僕が本当に驚いたのは、施策の中身よりも、「まとまると、話を聞いてもらえるんだ」ということのほうでした。まとまると、外食業界にちょっといいことが起きる。それを実感値として持てたんです。


「霞が関」と「地域行政」、二つの入口

深見常務理事:その後、日本フードビジネス国際化協会の理事長として食団連に参加していました。一方で、地方をまとめていきたいという流れから、日本飲食業経営審議会という組織があって[^4]、僕はそちらの理事もやっていたんです。当時のすみ分けとしては、霞が関に対しては食団連、地域行政に対しては審議会、という整理でした。

和田:二つの組織が、別々の入口を持っていたと。

深見常務理事:ところが、食団連のほうでも地域支部を作ろうという話になってきた。それで飲みながら「審議会もあるし支部もあるとなると、ぐちゃぐちゃになりませんか」と。「だったら、合体したほうが良くないですか」という話になったんです。食団連の支部機能を、日本飲食業経営審議会の支部が持つ形にすればいい、と。

和田:実は僕、審議会と食団連が一つになった背景を知らなかったんです。その真ん中に深見さんがいらっしゃったんですね。

深見常務理事:僕は日本飲食業経営審議会の商標を一生懸命取りに行っていたんですけどね(笑)。結果、合体して、そのまま理事に入ることになった。これがきっかけです。だからまだ短いですよ。2〜3年前の話です。新参者です。

6つのセクションを束ねる

和田:現在、食団連の中で深見さんが担当されている領域を教えてください。

深見常務理事:いまは5つの部会と、来週立ち上げる株式会社を合わせて、6セクションの統括をしています。

一つはオフィシャルパートナー部会。予算を持っているので、計画どおりの獲得社数を作ることと、すでにご参画いただいているパートナー企業の満足度を上げること。これを両輪で回すための部会運営です。

和田:先ほど、94社まで確定したと伺いました。

深見常務理事:はい。サミットの満足度も高くて、あと数社積み上がっているので、100社が見えてきました。予算達成です[^5]。

深見常務理事:もう一つが地域統括。今年は25支部という目標があって、現在18支部。あと7つをどう開発していくかということと、その18支部が自主的にしっかり回るようにどう支援するか。これが部会運営です。あとは個店連合会、会員団体、企業会員連合会。それぞれ数字があるので、達成することと、離脱が出ないようにしていくこと。

そして、来週立ち上げる株式会社。オフィシャルパートナーの皆さんがもっと商売につなげやすくすること、各省庁から民間に振っていただける仕事を取りに行くこと、いま進めている健康保険組合を作ること。こうした「しっかりお金を稼いでいく」ための器として株式会社を設立し、その代表に就任する予定です。

和田:僕だったら訳が分からなくなっているであろう仕事量ですね……。

深見常務理事:パシリ感、半端ないでしょう(笑)。一生パシリですよ。

取材を終えて(和田)

「まとまると、話を聞いてもらえる」。深見さんが議員会館で得たこの実感値が、今の食団連での動き方の原点になっている──そう感じた1時間でした。僕たち居酒屋甲子園も全国に地区があり、日々現場と向き合っています。けれど「業界としてまとまる」という視点は、意識しないと持てないものです。次回は、その"まとまり方"の設計図。25支部構想と、日本の飲食の8割を占める個店へのアプローチについて伺います。

出典・参考文献

  • [^1]: 本連載第1弾。食団連 佐藤裕久代表理事インタビュー「【連載第1回】食産業を日本の基幹産業へ」食産業人メディア「Food is People」 https://shokudanren.jp/media/contents/QotdvRZS

  • [^2]深見浩一氏の経歴・現職(株式会社PrunZ 代表取締役/一般社団法人日本フードビジネス国際化協会 理事長、2016年11月設立)。一般社団法人日本フードビジネス国際化協会 公式サイト「協会概要」 https://jifa.or.jp/association/ /同「JIFAとは」 https://jifa.or.jp/about/

  • [^3]和田裕直氏は2025年1月1日付でNPO法人居酒屋甲子園の9代目理事長に就任。NPO法人居酒屋甲子園「理事長交代のお知らせ」 https://izakaya-koshien.com/news/2025010101 /株式会社てっぺん 企業情報 https://teppen.co/company.html

  • [^4]食団連の設立時(2021年12月22日)から、一般社団法人日本飲食業経営審議会は組織体制に名を連ねている。一般社団法人日本居酒屋協会「日本の食文化を未来につなげる『日本飲食団体連合会(食団連)』発足!」 https://nihonizakaya.org/2022/03/30/ /食品新聞「14団体が結集『日本飲食団体連合会』中小店の声を政府へ」https://shokuhin.net/52148/2022/02/02/ryutu/gaishoku/

  • [^5]オフィシャルパートナー社数は2026年7月24日時点の深見常務理事の発言に基づく。最新の状況は食団連公式サイトを参照 https://shokudanren.jp/