人が集まり、言葉を交わし、新しい火が灯る。
飲食店の厨房と同じように、展示会場にも独特の熱気がある。
その熱を長年、裏側から支えてきたのが、株式会社エヌイーオー企画だ。
同社が手がけるのは、外食・中食業界を中心とした展示会の企画・運営。
「居酒屋JAPAN」「焼肉ビジネスフェア」「FABEX(ファベックス)」──。
業界に身を置く人なら、一度は耳にしたことがあるだろう。
その中心に立つのが、取締役として事業を牽引する 窪田知香さんである。
展示会は「モノを並べる場」ではない
「私たちの仕事は、展示会を“主催する”ことですが、本質は“業界の出会いを設計する”ことだと思っています」
そう語る窪田さんの言葉は、どこまでも現場目線だ。
エヌイーオー企画が目指してきたのは、単なる見本市ではない。
外食・中食業界の最新トレンドを集約し、課題解決の糸口を見つけ、人と人、企業と企業がつながる「交差点」をつくることだ。
展示会場には、食材、機器、IT、サービスなど、無数の要素が集まる。
出展社と来場者が出会うだけで終わらせたくない。
そこで交わされた会話が、次の挑戦や連携につながる。
その次の一歩までを含めて展示会だと思っています。
業界の発展を、場づくりで支える
エヌイーオー企画の展示会が特徴的なのは、業界団体やメディアとの強固な連携にある。
「FABEX」は日本食糧新聞社と、「居酒屋JAPAN」は日本外食新聞社と共催。
さらに、全国の業界団体や勉強会とも密に協力し、“業界全体でつくる展示会”という形を築いてきた。
「展示会は一社では成り立ちません。
業界団体、新聞社、出展者、来場者、その全員が同じ方向を向いたとき、初めて価値が生まれる」
だからこそ、窪田さんは「自社だけで完結しない」姿勢を貫いてきた。
競争よりも共創。
展示会を、業界の共有財産として育ててきた。

食団連との出会い――未来を“一緒に描ける仲間”
エヌイーオー企画が日本食産業連合会(食団連)に参加した理由も、その延長線上にある。
「業界の未来を“一緒に描ける仲間”と出会いたかった。
自社だけでは実現できないプロジェクトを、共に考え、形にしていけたらと思ったんです」
まだ参加の頻度は高くないとしながらも、窪田さんは食団連を「食産業のハブ」だと捉えている。
「立場や業種を超えて、実行力をもって発信してくれる存在。
展示会とは違う角度で、業界の声が集まる場だと感じています」
社員がサミットやイベントに参加し、「とても良かった」という声が社内に返ってくる。
その小さな手応えが、次の関わりへの意欲につながっている。
行政との接点、そして次の挑戦へ
今後の挑戦として、窪田さんが挙げるのが「行政との連携」だ。
「業界団体との連携はスムーズに進んできましたが、行政との接点はまだ十分とは言えません。
展示会というリアルな場で、政策や制度と現場が交わる機会を増やしていきたい」
展示会は、民間の声が集まる貴重な場所でもある。
そこに行政が加わることで、食産業の課題はより立体的に見えてくるはずだ。

女性が輝く業界を、当たり前に
もうひとつ、窪田さんが強い想いを持って語るテーマがある。
それが「女性の活躍」だ。
「個人的な想いかもしれませんが、飲食業界において、女性がもっと自然に輝ける環境をつくりたい」
エヌイーオー企画では、多くの女性社員が活躍している。
管理職の多くも女性が担い、出産・育児を経て現場に戻るケースも少なくない。
「女性が多い会社だからこそ、分かり合えることがある。
それは、飲食業界全体にも活かせると思っています」
展示会では、女性経営者や女性リーダーを登壇者に迎えるセミナーも積極的に企画する。
「探すのが大変なこともあります。
それでも、誰かが声を上げなければ変わらない。
だったら自分がやろう、と」
夜型の労働、出産・育児との両立。
飲食業界が抱える課題は多い。
だが、窪田さんは悲観しない。
「時代は確実に変わっています。
柔らかいマネジメント、ホスピタリティを軸にした組織づくり。
女性が力を発揮できる業界は、きっともっと強くなる」
展示会という「もうひとつの食文化」
料理をつくるわけではない。
接客をするわけでもない。
それでも、エヌイーオー企画の仕事は、確かに食文化を支えている。
「展示会は、業界の縮図です。
そこに集まる熱量が、次のトレンドを生み、次の店を、次の働き方をつくっていく」
窪田知香さんがつくり続けているのは、“出会いが連鎖する場”。
その場から生まれた縁が、今日もどこかの厨房で、新しい一皿につながっている。
取材協力: 株式会社エヌイーオー企画
取締役 窪田 知香さん
焼き肉ビジネスフェア&居酒屋JAPAN https://gaisyokusolutionexpo.com/
ファベックス ウェブサイト https://www.fabex.jp/