Food is People

お問い合わせ

トップ

/

インタビュー

/

業種の壁を越え、“目的”でつながる。日本食の国際化を動かす、ジャパンフードアライアンスの挑戦

業種の壁を越え、“目的”でつながる。日本食の国際化を動かす、ジャパンフードアライアンスの挑戦

公開日:2026.10.15

更新日:2026.10.15

食団連の会員団体インタビューは、加盟する団体同士の相互理解とコミュニケーション活性化を目的としてスタートした企画です。各会員団体のミッションや活動、食団連への期待を紹介します。

「バラバラな食産業をつなぎ、日本食の国際化を前に進めたい」

そう語るのは、一般財団法人ジャパンフードアライアンス(JFAL)代表理事の北川浩伸さんです。

JFALが目指しているのは、外食や食品メーカー、生産者だけでなく、IT、金融、アカデミア、行政など、食産業に関わる幅広いプレイヤーを結ぶ「結節点」です。

なぜ今、業種や地域の枠を越えた連携が必要なのか。JFALが生み出そうとしているビジネスと、食団連との連携の可能性について伺いました。

一般財団法人ジャパンフードアライアンス プロフィール

ジャパンフードアライアンスの設立年・活動内容・法人会員数

インタビュイー
一般財団法人ジャパンフードアライアンス
代表理事 北川浩伸さん

インタビュアー
食団連 会員団体部会 秋山、小原

バラバラな食産業をつなぐ「結節点」をつくる

――JFALが考える「日本食の国際化」とは、どのような状態でしょうか。

民間、アカデミア、行政をつなぎ、日本の重要な産業である食産業のプレゼンスを高めていく。それがJFALの目指す姿です。

日本の外食産業が積極的に海外へ進出し始めた2008年頃から、食のグローバル化に関わってきました。その中で感じてきたのが、食産業に関わる企業や人々の独立性の高さです。

当時は、仲間になって一緒に取り組むというより、それぞれが個の力で海外へ出ていく傾向がありました。しかし、コロナなどを経て、個の力だけでは難しいという機運が生まれてきました。

食を取り巻く産業には、外食、加工食品、生産者に加え、IT、金融、アグリテック、フードテックなど、多様なプレイヤーが存在します。さらに、大学などのアカデミアや、国・自治体といった行政も関係しています。

しかし、それぞれが素晴らしい技術を持っているのに、バラバラに取り組んでいる。これは、すごくもったいないことだと感じていました。結節点となるプラットフォームや出会いの場があれば、シナジーが生まれ、もっと強い力になるはずだと感じました。

海外展開に決定的に不足している「情報量」

――企業が個別に海外展開へ取り組む際、どのような課題がありますか。

決定的に欠けているのは、情報量です。

海外で事業を展開するには、市場情報だけでなく、物流、人材、商習慣、現地のパートナーなど、多くの情報が必要です。情報を整備しただけでは十分ではありません。受け取る人が理解できる形で届け、理解できているかを確認し、足りなければ見直す。そこまで含めたサイクルが必要です。

大学の研究成果とビジネスの間にも、同様の分断があります。

特に農学部などには、食産業ですぐに活用できる研究や技術が数多く存在します。しかし、大学は外食・食品企業を知らず、企業側も大学の研究を知らないため、活用につながっていません。

そこで必要になるのが、両者をつなぐ「翻訳」です。

大学の研究にどのような価値があり、企業にどんなメリットがあるのかを伝える人が必要です。ただし、知りたい、伝えたいという意欲がお互いになければ、関係は止まったままです。これを解決するために活動するのが、我々ジャパンフードアライアンスです。

ジャパンフードアライアンスの交流会で話す参加者

地域や産業の枠を超えて、ビジネスを生み出す

――アジアフードビジネス協会からJFALへと体制を変えた背景を教えてください。

前身となるアジアフードビジネス協会は、名前の通りアジアを中心に活動していました。しかし、企業が進出を検討する地域は、アメリカ、ヨーロッパ、中東などへ広がっています。

また、日本企業の海外進出だけでなく、インバウンドによって日本食の価値を国内で伝えることも重要になっています。

アウトバウンドとインバウンドを車の両輪として回し、相乗効果を生みながら、日本の食産業の付加価値を最大化したい。そのためには、地域や産業の枠を広げる必要がありました。

また、そのタイミングで私が代表理事を引き受けた背景には、行政機関で活動してきたからこそ感じた限界もあります。

行政の立場では、公平性が求められるため、特定の企業を強く応援することは簡単ではありません。

民間の立場だからこそ、やる気のある企業をしっかり応援し、きちんと儲かるようにしたい。私たちはビジネスを立ち上げることが最大の目標です。

JFALが重視するのは、共通する目的を持つプレイヤーを集め、プロジェクトごとに最適な組み合わせをつくることです。

実際に私たちは、グローバルな事業に挑戦したい若手約60人を集めたことがあります。年齢や志向が近い人たちが集まったことで、私が知らない間にも複数のプロジェクトが動き出しました。

業界や企業規模ではなく、「何を実現したいか」でつながる。それがJFALの考えるアライアンスです。

展示会場のセミナーで登壇者の話を聞く参加者

成功する経営者は、自ら現地を見ている

――海外展開がうまくいく経営者には、共通点がありますか。

上手くいく経営者の行動パターンは決まっていると感じています。
それは、経営者自身が現地へ行っていることです。

社長自身がその街に行っているか。飲食店であれば、現地の店を食べ歩き、価格まで把握しているか。自分の足で市場を検証しているかが重要だと思っています。

さらに、自社の強みや収益構造を理解し、現地市場の中で自社がどの位置にいるのかを把握できているかも問われます。

日本と同じ商品やサービスを持っていけばよいとは限りません。理想と現実の差を経営者自身が理解し、自社が変えるべきことと、変えてはいけないことを判断する必要があります。

そして、最終的には人間力です。自分で見て、考えて、行動できるか。それに尽きると私は考えます。

食団連とつくる、日本食の国際化へのロードマップ

――海外展開に必要な情報を、飲食店へどのように届けるべきでしょうか。

私が重視しているのは、情報を段階的に届けることです。

いきなり大量のテキストを読んでも分かりません。誰でもわかるように、初級、中級、上級と、段階を踏んで学べるようにする必要があります。

また、海外展開の先進企業だけを紹介しても、これから挑戦する小規模な飲食店にとっては、自社との差が開きすぎている場合があります。

まずは身近な企業の成功事例を知り、日本食の特徴や海外市場との違いを理解し、そのうえで具体的な進出方法を学ぶ。こうしたステップをロードマップとして整理していきたいと考えています。

――食団連とは、どのような連携ができそうですか。

JFALが食団連に期待しているのは、外食産業との接点です。

私たちは、海外に進出するプレイヤーを増やしたいと考えています。食団連には、食の出口を担う外食産業の皆さんが多く集まっています。現場が何を考え、何に困っているのかを教えていただきながら、その先の環境を一緒に整備していきたいです。

もう一つのテーマが、食産業の社会的な地位を高めることです。

食産業は多くの雇用を生み、地域や文化を支える重要な産業です。しかし、その規模や価値が、社会に十分伝わっているとはいえません。

現在取り組まれていることと思いますが、任意のアンケートだけではなく、きちんとした数字や白書のようなものをつくり、政府や社会に対して発信できるようにすることも大切だと思います。

JFALが持つ海外展開や異業種連携の知見と、食団連が持つ外食産業のネットワーク。双方の強みを生かし、まずは共通するテーマから具体的なプロジェクトを始めたいです。

一人ひとりの志を結集し、シナジーを生み出していきましょう。