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【開催レポート】食団連「第2回外食サミット 2024」開催。観光における食の宝を磨き、官民連携の強化へ

2024年08月30日

【開催レポート】食団連「第2回外食サミット 2024」開催。観光における食の宝を磨き、官民連携の強化へ

日本飲食団体連合会(食団連)は、2024年7月に衆議院第一議員会館で「第2回外食サミット2024」を開催した。第1回は前年に行われ、今回は食団連会員団体、オフィシャルパートナー企業など150人以上が参加。同会では、パネルディスカッションと、グループディスカッションが行われた。

▲「第2回外食サミット 2024」にビデオメッセージを寄せる麻生太郎衆議院議員

来賓挨拶では、まず「飲食産業を応援する議員連盟」の会長を務める元内閣総理大臣、麻生太郎衆議院議員が公務によりビデオメッセージで登壇。「今年に入って訪日外国人旅行者数は1カ月で300万人を超え、消費額は年換算で名目7.2兆円。その内訳は、かつて免税店での爆買いと呼ばれた消費から、今は飲食店を中心としたサービスに向かっている。これは外食産業はもちろん、地方創生にとっても大きなチャンス。各地域が連携し、食の業界でもまとまって、このチャンスを生かすべき。ぜひ協力し、日本を元気に盛り上げてほしい」と、飲食業界への期待を述べた。

▲来賓挨拶をする井上貴博衆議院議員

続いて、同じく多店舗展開飲食店議員連盟から、元財務副大臣の井上貴博衆議院議員が登壇。「食団連の結束は大きなパワー。飲食に関わる省庁は複数にまたがっており、エキスパートの国会議員もたくさんいる。彼らに声を届け、具体的に政策として反映させることが食団連の大きな意義。われわれも全力でサポートする」と熱意を語った。

▲来賓として挨拶をする松本洋平衆議院議員

最後の来賓挨拶は、自由民主党政務調査会副会長兼事務局長で「飲食産業を応援する議員連盟」事務局長の松本洋平衆議院議員。「コロナ禍を経た今、日本が元気なのは、外食関係者が歯を食いしばって乗り越えてきたから。他方、物価や人件費の高騰など課題も多いが、解決には官民の連携が不可欠でありいっそう重要。ぜひここで現場の想いを伝えてもらい、われわれ議員連盟も応えていきたい」と、官民一体の重要性を説いた。

 パネルディスカッション―淡路島や余市町に見る地方創生における“食”の力

▲パネルディスカッションでファシリテーターを務めるロイヤルホールディングス菊地唯夫代表取締役会長

パネルディスカッションは「地方創生における食産業の役割」をテーマに、食団連の顧問を務める、ロイヤルホールディングス株式会社の菊地唯夫代表取締役会長がファシリテーターとして登壇。「外食産業が果たせる役割のひとつは、地域のコミュニティや食を守るインフラの側面。もう1つは地域の外から人を呼び、一方で外に発信していく役割だ」と指摘したうえで、その取り組みを実践する2名のパネラーにつなげた。 

▲パネルディスカッションに登壇するロイヤルホールディングス株式会社・菊地唯夫代表取締役会長(右)、株式会社バルニバービ・佐藤裕久代表取締役会長(中央)、齊藤啓輔余市町長(左)

1人は、食団連の副会長でもある、株式会社バルニバービの佐藤裕久代表取締役会長。佐藤氏は、近年注力している兵庫県・淡路島の開発プロジェクトを例に挙げ、次のように述べた。「地方の問題点には、退屈・卑屈・窮屈の“三屈”がある。しかし固定概念がない、よそ者だからこそ“屈返せる=覆せる”というのがわれわれの考え方だ。大切なのは、食で“楽しい・面白い”を打ち出すこと。そして、ただ施設を作って人を呼ぶだけではなく、そこで働きたくなる、住みたくなる街を目指すべき。楽しいところに人が集まり、職とコミュニティが生まれ、今では祭りも主催している。ベースにあるのは食の力。今日の集いでまた、その力に確信を得てほしい」。

もう1人のパネラーは、地元産ワインのブランディングで知られる、北海道・余市町の齊藤啓輔町長。「行政は公平性を大事にしがちだが、余市ではワイン「一点突破」として集中して推進する政策を実施。また、余市ではこれまでドイツ系ブドウ品種を多く栽培してきたが、世界的により需要が高いシャルドネやピノ・ノワールを奨励するようにした。当時は反発もあったが、結果的に飲まれる機会は増えている。また、余市産ワインをデンマークの世界的なレストランにトップセールスを実施したのも、それは北海道と北欧に食の親和性があったから。北国というテロワールの共通点をストーリーに、食とマリアージュを提案したことで理解を得てオンリストに繋がった。しかし政策も提案も、重要なのは覚悟。地域の宝に目を付け磨き、未来を信じてやりきることが大切だ」とリーダー論も語った。

各登壇を踏まえて挙がったポイントは、多様的で柔軟な発想。その正しさは歴史が証明していて、織田信長が代表例。鉄砲というイノベーションで最強の騎馬隊を破り、楽市楽座の自由取引で経済を活性化させ、外国人をも配下にするグローバルな視点で優秀な人材を登用した。外食業界をはじめ日本全体にも課題はあるが、解決の一助となるのが多様性であり、グループディスカッションに生かしてほしいとして、パネルディスカッションは終了。

 グループディスカッション―官民連携強化で課題解決を。日本の食産業・文化の未来を議論

▲グループディスカッションの様子

続いて、グループディスカッションへ。テーマは
(1)観光における『食』の価値とはなにか?
(2)各地域に人を誘客するための行政に対する提案

の2つ。150人以上の参加者が24のグループに分かれて20分ずつ話し合い、そこで形成した意見や提案を発表し合った。 

口火を切ったのは、福井県から駆け付けた株式会社ぼんたの齋藤敏幸代表取締役。「福井名産の越前ガニは、地元では旬の冬しか売れないという考えが染みついている。しかし県外や外国の人は旬などよく知らないし、冬以外でも食べたいだろう。であれば、そこに商機がある。また、テーマ(2)については、人手不足に注力してほしい。たとえば、公務員採用して飲食店に出向させるのはどうか?」と提案。

(2)に対して齊藤町長は「地域おこし協力隊や、地域活性化起業人という制度はある。余市町でも地域おこし協力隊がカフェの運営を行っており、国による補助制度もある」と説明した。

続いて、株式会社グロブリッジの大塚誠代表取締役が発表。「訪日外国人客の3/4は、観光スポットで食事をするのではなく、外食は別のエリアでと考えているとか。それは、観光先の飲食店情報が弱いからではないか。観光地の検索で、どれだけ地元の食情報を組み込めるかが大切だと思う」と述べた。

この意見について食団連の佐藤副会長は、「地方のレストランが旅行の目的になるのが理想的だが、実現できる店は一握り。であれば、たとえば地元の経営者仲間で食べ歩きの店を観光地にいくつか作っていく中で、食が盛り上がっていくような可能性もあるはず」と希望を語った。

3人目は福岡県から参加した、アトモスダイニング株式会社の吉原英一取締役が発表。「比較的、福岡は食を目的とした観光需要も多い。そこでより高めるべきなのは、現地ならではの体験価値や本物感ではないか。(2)に関しては、官民の連携は資本力のある企業との連携になりがちだが、中小の企業は個性的な店を作りやすいのが強み。政治も、よりすそ野を広げて取り組んでほしい。加えて年収の壁や、外国人採用とライドシェアの規制緩和を迅速に進めてほしい」と訴えた。

▲グループディスカッション内容を発表する武蔵株式会社・河合昭人代表取締役

最後は日本回転寿司協会の元会長でもある、武蔵株式会社の河合昭人代表取締役が発表。「訪日外国人に提供する料理は、できれば食材も日本産であることが理想。そして、国産を支える第一次産業の活性化は地方創生にもつながる。しかし日本の自給率は低く、これは輸入に頼ってしまった日本の反省点でもあり、第一次産業に力を入れるべき。対策例として、外食業界は国産使用比率を表示してはどうか。飲食店のプライドになるし、国産価値の向上にもなるはず」と問題提起。

食団連の菊地顧問は「第一次産業の活性化は非常に大切な視点。その他も多岐にわたった議論ができ、外食サミットも食団連についても、改めて存在意義を感じる」と総評した。

▲参加した感想を話す東京大学4年生の伊藤まどかさん

そして今回、学生の立場から参加したのが東京大学教養学部で人文地理学を専攻している4年生の伊藤まどかさん。彼女は地理学における外食産業について研究する中、外食サミットの開催を知り申し込んだという。そして次のように話した。「日本の地理学では、外食産業の研究に関して、海外や他学問に比べて盛んではない。社会的に注目されていないのかという不安もあったが、今日参加して杞憂だと確信。現場の声や都市と地方と食の関係性について大きな学びがあった。議論の中で『官と民』について多く触れられる中、『学』の視点を提示することが、大学院に進学する自分の使命とも感じた。非常に刺激になった」と感謝を述べた。

最後は、食団連の高橋専務理事が挨拶。「各地域には必ず宝物がある。それをどうやったら価値化できるのか。そんなことをまた1つのテーマにして、次回集いたい」と期待を語り、「第2回外食サミット2024」は幕を閉じた。

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